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2009/06/19

孤高の禅師 道元

映画「禅」を見たこともあり勢いあまって買ってしまった本だ。意外と影響を受けやすい自分に苦笑する。

この本は「日本の名僧」というシリーズ本の9番目に当たるもので他に法然や一遍など、日本史の教科書に必ず出てくる有名人ばかりが入っている。

一読した感想は「いやはやなかなか手に負えんわい」というものであった。本書は最初、道元の生涯を簡単に追いながら、それぞれの諸問題についての小論が続くといった具合で、特に最後の2章は仏教哲理にかかわってくる内容で僕にとっては難解であった。だがしかし、これらの内容については仏教を専攻した人ならだれでも簡単にすっと頭に入ってくる内容なのではあるまいか?少なくとも専攻する学生には初歩的なのだろうが門外漢の僕にとっては難しいものであった。

本書に語られる道元はこの時代の人としてはかなり特異な存在であったようだ。特に5章の「道元の清規」にかなり特徴的に表れている。清規とは寺院内における生活の方法や儀式に関することを記したルールブックのようなものらしいのだが、同時代の他の僧侶と比べても罰則規定がなかったり、時の権力への迎合がなかったりシンプルな印象を受ける。その代りに修行をする者に対しては自己を徹底的に規律することを求めたものらしい。

印象でしか物をかたることができないのが何とももどかしいが、非常に現代的で洗練された考え方のように思われてならない。というのも僕が学生であったころはまさしく個の確立なるものが目指されていたように思うのだ。大江健三郎あたりの文章をずいぶん読まされて閉口した記憶があるが自立し、完成された個というものが何であるのかずいぶん叩き込まれたように思う。それからすると他律的な生き方を否定するこの道元の清規の考え方はしっくりくる。もっとも今ではずいぶん時代が変わって助け合って生きていこうみたいな考え方に変わっているのだろうけれども、そういったものの考え方にある種の嫌悪感を抱いてしまう僕にとっては自律的な生き方を目指す道元的な考え方は好ましいと言わざるを得ない。結局は人生は己の意志と決定とその責任によって決まると考える僕は個の確立を目指す少し古いタイプの人間なのかもしれない。

もう少し時間があったならこの道元という人を追求してみたい。そんなことを思ってしまった。

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