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2008/11/07

レッド・クリフ

この秋一番の話題作といえるだろう。ジョン・ウーが監督をして総額100億の制作費をつぎ込んだ「レッド・クリフ」である。

三国志中でもっとも有名な赤壁の戦いを描いた今作であるがいやはや、確かにお金はかかっていますなぁ。合戦シーンも派手だし、人民軍兵士をエキストラに使用して何だかうじゃうじゃ人はいっぱいいるし、何かもがスケールが大きい。

だが、僕の感想を率直に言わせてもらうならば壮大な駄作と呼びたい。2時間半くらいの映画だが上映中に久しぶりに早く終わらんかなと思ったものだ。豪華なだけの作品はあっという間に飽きる。

確かに人物に何らかの個性を与えようとしているのはよくわかる。その辺りの努力は認めよう。だが、ちっとも個性が際立つという感じではないのだ。たとえば諸葛孔明は劉備の天才軍師だが、ちっとも天才には感じられない。関羽も張飛も豪傑っぽくない。

あっといわせるものがないのだ。映像は確かにすごいが、そこに描かれる人物はすごいと素直に思わせる要素がまったくない。三国志とは超人的な豪傑と知略に富んだ軍師たちのあふれ出る個性のぶつかり合いで進んでいく物語だが、こうまで人物の描き方が甘いとがっくり来てしまう。

原作である三国志の物語の構造をもう少し取り入れるべきではなかったのか。とくに赤壁での面白さというのは、強大な敵、曹操にたいして弱者連合を組む劉備と孫権が知略を尽くして挑むという物語だが、単純な弱者連合ではなく、負け戦ばかりが続く劉備軍の実力を孫権側が常に疑うというものであったはずだ。味方にまで心配され疑われる劉備とその配下の武将がその疑いをあっといわせる方法で逆転させていく面白さこそがこの物語の面白さなのだ。単純に曹操に対する葛藤があるだけでなく、孫権と劉備の間にも葛藤が横たわっているはずなのだ。だがそこを描いていないためにこの作品は駄作にならざるを得ない。

諸葛孔明はその天才振りを発揮するのは孫権に対してであり、関羽や張飛、超雲も孫権に対してその力を見せて見せるのだ。したがって、物語における曹操の役割とは劉備軍にとっての反射板であり、反射された光というのは孫権軍に向けられている。だからこそ孫権家中の老臣たちが劉備との同盟について反対する中、周愉が劉備にとってのよき理解者になることができるのであり、魯粛が道化師を演じることができるのだ。彼らは劉備の理解者という役割を担わされているだけではなく、劉備配下の武将たちの良き引き立て役でもあるのだ。

シナリオ作りの失敗だと僕は思う。

それから気になるのは、合戦シーンで何で関羽や張飛、超雲は兜を被っていないのか。意図としては兜を被らずとも強さ抜群であるというところを見せたいのかもしれないが、これはいただけない。こういう描写をお座成りにするようではうるさ方の観客を引き付けることはできない。少し甘いんじゃないか?

ま、こんな作品ではあるが、金城武はかっこよかった。映画を見るまでは金城が諸葛孔明と聞いて少しマッチョすぎるんじゃないのかと思ったが、よくハマっていた。それから孫権の妹を演じたヴィッキー・チャオ。彼女も美しくじゃじゃ馬な役どころをよくこなしていた。この二人だけだなこの作品でよかったのは。小喬役のリン・チーリンはあれでいいんかい?あとは見るべきものがない作品であった。

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