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2008/10/22

パコと魔法の絵本

実に不思議な映画だ。荒唐無稽のようでいて、普通であり。個性的なようでいて、平凡であり。非常に多面的な顔を持つ映画だ。

日曜日の一回目に見た。親子連れ2組ぐらいしか入っていなかった。もしかして売れていないのか?あるいはポニョ疲れ??

ありていに言えば話の筋は凡作の域を出ないかもしれない。ヒロインであるパコの造詣もよく考えれば博士の愛した数式に酷似しているし、主人公大貫のわがまま勝手ぶりもベタだし。見ていて話の筋が読めちゃうし。でも面白い。

思うにパコと周りの大人たちには決定的な落差がある。周りの大人たちがどこか不完全で何かが欠落しているのに対して、パコという主人公は完全無欠で欠落した部分がない。本当はパコの両親は事故で死んでしまい、パコ自身もその事故がもとで記憶が一日しか持たないという障害を負っているのだが、まさにその一日しか記憶が持たないところが永遠に傷つかない心を象徴しているようで面白い。記憶が一日しか持たないからこそ記憶という傷から自由でいられるのだ。浦沢直樹のモンスターや20世紀少年と対比すると実に興味深い位置に立つ作品ではないか。

その無欠のパコの頭の中に少しでも残ろうと傷を持つ大人たちが絵本の内容を演劇にして演じるというのは、あたかも神に祝福を受けようと奮闘する姿に思えてならない。自らの傷に対して人間が精一杯向き合う姿とも言えるのではあるまいか。こういう姿が凡庸なこの作品をかえって非凡にしているのだと思う。よい作品だ。

DVDが出たら絶対に買っちゃうよな。これ。

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