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2008/04/05

国家の役割とは何か

何だか品のいい、口当たりのソフトな書物である。作者である櫻田淳はブログを開設していて僕はそのブログのファンではあるのだが、普段の彼の冷めた切れ味の鋭い言葉とは打って変わったその文章の雰囲気に驚いた。

もっともこれは本書の意図するところが政治学を学んだことがない人々に向けての本であるからかもしれない。牙は意図して隠されているのかもしれない。

さてかくいう僕も政治学はまったくの素人だ。だからこの本のメインターゲットに入っているのだが、読後感は何だか不可解なものだった。わかったような、わからないような。知っていることを改めて確認したような、そうでないような。ある種の欲求不満があるかもしれない。

この読後感はどこから来るのかといえば、本書のタイトルと内容のわずかなずれにあるかもしれない。本書のタイトルは「国家の役割とは何か」だが、実際に記述されているのは国家の機能の説明であろう。内容的には国家の仕事を「力の体系」「利益の体系」「価値の体系」に大別し詳述するのだが、その記述は機能の羅列であって役割というには程遠い。したがって、読んだあとは実に雑多な知識が並んでいるという印象を与えるのだ。

ただ機能について書いているのだと思えば面白く読むことができる。「価値の体系」関して言えば日本を取り巻く現状をつぶさに見渡すことができる。一言で言えば昨今言われるようなソフトパワーについての説明に多くを割いているため日本のこの分野でのプレゼンスの高まりをよりわかりやすく理解できるだろう。

次は日本の国家論とかそういう感じのものが読めたら幸いだ。

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