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2008/03/30

とろ その生涯

本との出会いにはいろいろあるだろうが、この本に関しては妙な気が出ているような感じがしてならなかった。何せ、タイトルが妙だし、表紙の絵もマグロの絵だし、何だかけったいな本だなぁというのが最初の印象だった。何度かその本の前を通り過ぎ、他のものを買おうかと思っていたのについ手にとってしまったのだ。

一読した感想はと問われれば、う~ん何だかよくわからない。妙な感じなのだ。この小説は果たして傑作なのか?

ストーリーは明快だ。太平洋戦争中兵隊にとられた主人公とろの生涯をつづったもので、狂言回しの筆者はとろが死んだ後、主人公に頼まれてその生涯を一冊の本にまとめる。

筆者は言う、とろは日本一の愛国者であって、世界一の平和主義者だと。

よくわからんのは愛国者と評している割には愛国者振りが描写されていないことだろう。読んでいる方にしてみれば腑に落ちない。平和主義者である描写はいくつかでてくるけど・・・。

さらに言えばこの本の主人公とろはぶっ飛んでいる。兵隊にとられた彼は軍隊の補給部門に回され、一頭の道産子と出会う青弥、通称アオというウマだ。とろは新兵の訓練期間中に敵に見立てたわら人形をうまく銃剣で突けずに地面を突き刺し、上官から「とろい」のとろというあだ名を頂戴していた。このとろがアオというウマと話ができるのだ。もちろん日本語で。

ね、ぶっ飛んでるでしょ?

アオに決闘を申し込まれたり、友情を育んだりするのだが、最後はとろを庇ってアオは銃弾に倒れてしまう。

終戦を迎えて、家に帰れば、許婚のみ雪と結婚するものの、彼女はとろの実父によって戦時中乱暴され、心に傷を負っていた。

・・・・・何だか、ストーリーを説明するのが大変な小説なのですよ。

ほんでもって実家をみ雪とともに出奔した彼は田舎に居を構え商売に精を出す。そして大金持ちになって、気の合う仲間と酒を飲んで楽しく過ごす。たまに不倫なんかもして。

・・・・・ね、だから説明が難しいって言ったでしょ。

内容てんこ盛りの小説なのだ。エピソード同士の緊密な関係は希薄かもしれない。でもなんだか面白いんだよなぁ。何となく憎めないような、かわいらしいようなそんな小説だ。気になっちゃうっとでもいうのかな?ほっとけないとでもいうのかな?

とにかく不思議な小説です。内容も装丁も。

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コメント

ひさびさのコメントです♪
まぁー、私はその本を読んではないけど なんだか「紙一重」だね!笑

昔は兵隊さんに行っている間、義理の父に犯されたり、配偶者の兄弟にとか けっこう当たり前に行われていたことよね・・・

投稿: りえ | 2008/03/31 23:06

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