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2007年8月

2007/08/20

ベクシル

うーんなかなかかっこいい作品ですぞ。

3Dライブアニメというらしいがなかなか良く出来ている映像だ。人物の表情、動き、背景の作りこみなどなど。技術的には相当高い位置にいるのかもしれない。もっとも細かいところがもう少し作りこめればパーフェクトだろう。たとえば物を相手に渡す時にぎこちなさがみられたりして、もう少し改良の余地のある技術なのだなと思った。

ところでこの作品は西洋的な雰囲気を身にまといながら実は非常に日本的な自然観に裏打ちされている作品なのではなかろうか?

人間をモルモットにして作り変えるという壮大な実験の成れの果ての物語だが自然に対する畏敬の念が随所に見られる作品だ。

ジャグの存在が僕にそんなことを感じさせた。あのジャグというのは完璧なアンドロイドになれなかった人間の成れの果てが固まって出来たものだが、あのジャグというのはまさに自然そのものだろう。荒涼とした大地に突如あわられる台風のようなものだ。人間が何でも出来るとして自然に手を加えた結果にジャグという猛威が襲ってくる。うーん日本的な発想だと思う。

どうでもいいが、劇中の登場人物マリアがどうしても柴崎コウに見えてしまうのは僕だけだろうか?

なかなか面白い作品に仕上がっている。お試しあれ。

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2007/08/15

トランスフォーマー

意外と評価が高いこの作品。どうせハリウッド大作にありがちな大味な感じの作品でしょって感じで見に行ったものだが、どうしてどうしてなかなか面白い。

いや、確かに大味で語るほどのものがないのも事実なのだが面白い。考えてみるにあまりにも荒唐無稽だからなのだろう。

車がロボットに変身するなんて、日本人は見慣れていていまさらハリウッド製のそんなもの見せられてもと思うのだがやっぱり面白いのだ。

気楽に見られる作品だ。荒唐無稽はかくあるべしというのを教えてくれるかえってよい作品だった。お姉ちゃんもきれいだしね。もっともDVD買おうとは思わなかったけど。

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

家族をテーマにした映画がまた一本増えた。まずこれが印象の第一だ。

現代の社会において家族というのは人々を悩ますもっとも大きな問題なのだろう。人間の生活においてもっともベースとなるもののはずだが、社会における変化のスピードと同じかそれ以上の速度でもって家族は急速に変化しているのだろうと思う。しかもこれは極めてプライバシーの問題にかかわることであるために誰もその問題に深く入り込むことが出来ない。それが今の家族を取り巻く状況というものなのだろう。

この作品は主人公の妹が姉のプライバシーを漫画にして暴露したことから家族の崩壊が始まっている。

プライバシー。現代に根付いた言葉だが逆に現代人の行動や思考を束縛する奇妙な言葉。プライバシーが守られれば自由度が増すと誰しもが考えたが必ずしもそうではなかったのだろうと僕は思っている。

本作における主人公は女優になりたいと考えて東京に飛び出していったものの今のところ目が出ていない。両親の死によって故郷に帰ってくるところから物語りは始まる。かつて女優になることを反対された姉は東京に出てくるための資金を同級生相手の売春でまかなっていたが、妹にそれを漫画にされてしまい、しかもそれが雑誌に掲載されて故郷の村人全員が知るところとなってしまった。姉は怒り狂い妹を苛め抜く。

これがこの作品の基本設定なのだが、このプライバシーの暴露とはなかなか意味深いものをもっていると僕は思っている。プライバシーは守られねばならないという前提がある一方、家族には秘密をなるべく持ってはならないという圧力も同時にあるだろう。明らかにこの主人公たる姉の行為は家族の恥部だ。この恥部を本来ならば家族への暴露程度に収めてしまうのが普通の方法なのだろう。そんな作品はごまんとある。だがこの作品の妹はそれを無思慮にも世間一般に公表してしまった。家族は崩壊しそれを目の当たりに見た妹は深く反省する。だがその反省とは家族というものの幻影を守ろうとする切ない行為に僕には見えてしまう。

この作品の兄嫁はかなり辛い立場に置かれたキャラクターだが、彼女は孤児院で育ち初めて持った家族というものをどんなに辛い立場におかれても異常なほどのポジティブシンキングで守り抜こうとする。この兄嫁が象徴的に現す家族というものもまた幻影なのだと思う。ちょうど妹が守ろうとしたのと同じように。

だがこの家族はもう一度の崩壊を経験する。それをもたらすのは血の繋がらない兄によってだ。姉と妹の間で必死に家族というものを守ろうとするのがこの兄なのだが、この兄と姉が関係することによってそして妹がそれを暴露することによってもう一度家族は崩壊してしまう。かろうじて守られていた家族の幻影は木っ端微塵だ。しかし前回の崩壊と違って今回の崩壊は姉と妹が激しくぶつかり合うことだ。感情むき出しにしていがみ合いぶつかり合うことだ。

結局、家族を家族たらしめるのは激しい感情のぶつかり合いなのだ。何となればラストはこの妹と姉は一緒に東京に旅たつのだから。スマートな洗練された家族の像など何の意味も持たないことをこの映画は教えてくれる。

僕は常々思っているのだが家族をめぐる物語はちょうど自分探しの旅に似ている。そっくりではないか、理想の姿を求め、それに合致しない己の実像に悩み葛藤する。多くの自分探しの物語は在りもしない幻影を求め、その幻影がどこにもないと気付くというものだが、家族も結局その幻影に悩まされているのだ。まもなく日本の映画や文芸はその幻影の呪縛から解き放たれるだろう。今は本音で語りあえば何とかなる的なものが多いような気がしているがそれを通過してしまったときそこには恐らく個というものしか残らない姿が待っているのだろうと思う。そしてそれは徹底的に孤独な救いのない個の姿だと僕は予想しているのだがどうなのだろう?

さて、この登場人物たちの苗字が和合なのは皮肉であり願望を込められたものだ。作者のセンスを見せられる気がする。

どうでもいいことだが、妹役をやった佐津川愛美は蝉しぐれで初めて見て以来だがこの作品で見れて良かった。ビジュアルもかわいらしいが演技もいい。逸材ではないか。成長した姿を見せてくれてありがとうと言いたい。おじさんはあなたを応援していますぞ!同じ静岡県だしね。

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2007/08/14

RENAISSANCE PARIS2054

東京辺りではもうとっくに上映されている作品なのだろうか?

しかし凄い作品が作られたものだ。率直な感想を述べるとするならば、こんな凄い映画見た事がない!

ストーリーはいわゆるSFで遺伝子操作などを物語りに埋め込んだものだ。ストーリーそのものはそれほど新奇なものだとは思われない。もちろんそれなりに面白く作ってあるが、もしこれが通常の実写で撮影されたならばそれほどの衝撃でもないし、かえって凡庸という評価を受けるであろう。この映画において特筆すべき点はそのグラフィックにあるだろう。

この作品の映像美はおそらくスタイリッシュという言葉で表現されるだろう。ひたすらモノクロの映像で表現され日本人が思うような水墨画の濃淡など一切排除したその映像美から受ける衝撃は計り知れない。よくこれを作ったものだと舌を巻く。

特に街の描写、車などの描写などある種の機能美さえも感じさせて美しい。

こういったグラフィックを使用することによって人間の質感はどうだろうかと思われる向きもあるかもしれないが、クールさを感じさせるできばえになっていて、細かい表情などもきちんと作られているからさらに驚く。

スピード感溢れるカメラワークも凄いと思う。カーチェイスのシーンがあるが、飛ぶようにモノクロ映像が流れていく美しさったらありゃしない。疾走感を殺さずに生き生きと描写されているのだ。

革命的といっていいだろう。

この夏にこの作品を見れたことは神に感謝をしたほうがいい。未見の人は何としてでも時間を作って見ることをお奨めする。劇場で観ないと損をしますぞ!

Renaissance

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2007/08/12

リトル・ミス・サンシャイン

DVDでみた。いい作品だった。劇場で観ればよかったと思わせる作品だ。

家族の再生を描いた作品だが、それと同時に勝ち組、負け組といった単純な色分けに対するアンチテーゼも含まれていると思う。

少なくともこの映画には3人の夢を持った人たちがいる。主人公の父リチャードは自らが提唱する能力開発プログラム(?)の9段階プログラムの出版に人生のすべてをかけ、勝ち組になることを目指している。

同じく主人公の兄ドウェーンは航空パイロットになることを夢見ていて、哲学に傾倒しパイロット養成学校に入るまで一切しゃべらないと誓いを立てた変り種。

主人公のオリーブは7歳だが、美少女コンテストにでてチャンピオンになることを夢見ている。もっとも彼女は太っているのだが・・・。

さらにこの映画には夢破れた人も家族の一員として登場する。自称全米一のプルースト学者主人公の叔父フランクはゲイだが恋人に振られ自殺未遂をしてしまった人。しかも劇中でライバルに先を越されプルースト関連の賞を恋のライバルに取られるという始末。明らかに負け組み。

主人公の祖父は老人ホームを追い出されるほどのヘロインマニア。しかもスケベなエロ爺さん。

これに主人公の母が絡んでくる。一種のロードムービーで一家で主人公の出場する美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」におんぼろバスに乗って長い旅をする。この映画に出てくる登場人物の中に既に勝ち組となっている者は一人もいない。負け組になった後か若しくは勝ち組になろうとしているものばかりだ。だが、全員負け組になってしまう。恐らくこの作品の意図するところは勝ち組負け組といったあまりに単純な色分けでは人の幸せを計ることができないというものなのだろう。ラスト近くパイロットになる夢を断念した兄に対して叔父がプルーストの例を引いて、苦しく辛い時期を無駄に過ごすなと励ますが、ここにこの映画の良心が見え隠れしている。幸せとは経済的な量で表すことができず、同時に憧れを実現することでもなく、苦しさをを通り過ぎたあと振り返るとそこに幸せがあったと気付かされるということ。そういうことなのだろうと思う。

主人公の祖父は劇中亡くなるのだが、主人公はこの祖父からダンスを習っていて、コンテストにて披露するのだが、このダンスというのがいわゆるストリップショーのダンスなのだ。爺さんにとってのダンスとはそういうものなのだが、コンテスト会場にいるものは皆これを卑猥だとし、主人公を舞台から引きずり下ろそうとする。家族は全員一致で主人公を守って一緒に踊るのだが、いいシーンだ。無理解な大人たち或いは常識から少々外れたダンスではあろうとも懸命に踊る主人公の希望を滑稽な姿であろうとも守ろうとする家族の暖かさを感じるいいシーンだ。好きだなぁ、こういうの。

いい映画だ。家族で見るには丁度いいかもしれない。もっともちょっとエッチなシーンが含まれてはいるけれど。

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2007/08/07

劇場版仮面ライダー電王 俺、誕生

何度でも言うが、白鳥百合子のファンになっていなければ絶対見ない映画だ。ちびっ子とともに見た。なかなかない貴重な体験だったのではないかと思う。

しかし、この電王ストーリーが複雑ですな。よくもまあ、子供達はこの作品についてこられると思うよ。子供は恐らく大人とは違った見方で見ているのだろう。

なかなか面白く仕上がっている作品だと思う。何より時間的な制約があるためか、作品中の話の運びのテンポがきびきびしていて実にいい。何よりアイディアが秀逸だと思う。タイムスリップものなのだが、たんにそれだけにとどまらず、デンライナーが乗っ取られたりして、ハラハラ感はなかなかのものではないか。

そして記憶を失った良太郎がその記憶を取り戻す過程はなかなか熱くなるものがあった。桜井が記憶あれば時間は失われないというセリフはなかなか良かったぞ。父母の大事な記憶を失いかけていた主人公の気持ちを劇場に来ていたちびっ子諸君はわかったのだろうか?そして最後に両親をデンライナーから見つめるあのシーンは名シーンだと思う。記憶とは家族の温かみから始まるのだというメッセージではなかったかと思うのだ。

ところで牙王をやった渡辺裕之さん、ハマリすぎ。あんなに悪役が出来るなんて凄いですな。完全に主役食ってました。若い俳優さんには刺激になったのでは?経験の差とはどんな仕事においても重要なのですな。

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2007/08/05

怪談

いい!この映画はいい!

映像も美しいし、役者もきれい。何より話の筋がいい。

僕はこの映画をホラーというよりはむしろ、恋愛映画と見た。もちろんホラー映画の要素は十分あるのだがそれを補って余りある愛の濃密な物語がこの映画の主軸だと思う。

主人公の新吉はどう考えても優男でしょうもない奴なのだが、そんな男に惚れていく女たちの悲しさというか哀れさがすごくいい。みんなきれいなのだ。

人間の業というのを恐らくはこの映画を見たものは口にするのだろう。確かにこの映画を語るに当たってその言葉は簡便で使いやすい。だが、単純に業と言ってしまっては人間というものを非常に軽んじた態度に思えてならない。この映画を流れるものは愚かさと悲しさだろう。業に通じる部分があるとは思うが、愚かさとは自らの行為がどんな結果をもたらすのかを予見することを難しくするほどに愛に翻弄されることだと僕は思う。冷徹な精神性をもった人間の態度ではありえない行動の数々がこの映画にはあるように思う。そしてその愚かさがから悲しさが導き出されるのだろう。あまりに無残な結果を目の当たりにしてもそれでも愛のみに生きていこうとする姿がとても悲しい。

人間にとっての愛とはある意味においては劇薬なのだろう。得られぬ愛を求めて死してなお生ける人間に取り付いて愛を請い続けるのだから。すさまじいものだと思う。

この映画は人間をよく描いている。絶対に見るべき作品だろう。今年の映画の白眉だ。

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