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2007年5月

2007/05/20

今宵、フィッツジェラルド劇場で

一言で言えば楽しい作品だ。今夜で最後のラジオの公開生中継番組であるにもかかわらず、出てくる人々はウェットではなく、プロフェッショナルとしての仕事に誇りをもって最後の仕事をしようとしている。

しかし、なんといっても音楽が楽しい。この映画に出てくるのはカントリーミュージックが中心なのだが、現代の早いダンスミュージックなんかに慣れた耳には心地よくストレートにメロディが入ってくる。カントリーって楽しい音楽なんだね。それに日本の演歌とはちがってシリアスでも暗くもなくどちらかというと、明るく希望に溢れた感じの音楽だった。

本当はアルトマン監督の遺作だからなんだかんだとあるんだろうが、そんなことは素っ飛ばしてもこの映画は楽しい。よき音楽は精神に対する良き薬なのだ。今夜はよく眠れそうだ。

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あかね空

随分前から公開されていたようだが、静岡では最近になって見られるようになった。

やはり時代劇だからだろうか、年配者が多かった。それはそれでかまわないのだが、やはり若い人にも時代劇を見てもらいたいとは思う。若い観客の支持がなければ日本における時代劇の火は消えてしまうかもしれないのだから。時代劇は楽しいですぞ!

さて、この作品の感想はよくまとまっているということだろうか。原作は例によって未読だが親子2代に渡る物語とは想像しただけで長いことはよくわかる。それを2時間に手際よくまとめるのだから脚本作りは大変であったろうということがわかる。

CGもよくできていたが、それでもまだ力不足かなと思う。実写部分とCG部分の差がわかってしまうところがいくつかあった。観客の目は厳しいということなのだ。

ストーリーは人情劇のいいとこどりみたいな感じだ。深い感動を味わうという感じではなかった。永吉とおふみの出合と結婚。おふみの世話焼きっぷり。長屋の人々の新参者に対する暖かな接し方。京やを追い落とそうとする中村梅雀の小心者の悪党っぷり。栄太郎の身の持ち崩す様。すべてセオリー通りというべきか。特に傳蔵親分とおふみとの対決シーンは結果が初めから読めていたので逆に安心て見れてしまった。本当はこんなんじゃいけないのだけれど。

だからといってこの映画が質が低いというわけではなかろう。むしろかなり高いといえるかもしれない。なんといってもこの映画は家族の崩壊と再生を描いているのだから。近年この手の小説や映画がたくさん作られているが、この作品はそのテーマに直球勝負を挑んでいる作品なのだ。凡庸さのなかにある種のすがすがしさを感じるのはそのためであろう。物語を破綻させることなく描ききったことには敬意を表すべきだろう。

さて中谷美紀である。ほとんど怪物のような女優さんですな。永吉との結婚前の初々しいかわいらしさもさることながら、子を持って店も大きくなった時の様もすごい。映画の後半は店を切り盛りし、職人気質の旦那を支える商家のやり手のオバチャンという感じが凄く出ていた。その切り替えのすごさに圧倒された。まさに天才、必見です。

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ゲゲゲの鬼太郎

本当は見るつもりなどなかったのだが、テレビであれほど宣伝されてしまうとついつい見に行きたくなるものだ。行ってしまった。劇場は当然ちびっ子でいっぱい。大の大人に劇場に足を運ばせるのだから、宣伝の力というのはすごいものだと思う。

さて、その感想なのだがはっきり言ってなめてんのかと思ってしまった。

なにが甘いといってストーリーの細部の詰めが甘い。妖怪石をめぐる攻防戦がストーリーのメインになるのだが、行方不明の妖怪石を見つけるまでのストーリーの運びが手際が悪い。少年が父親に託されて持っているのだが、その発見の方法があれでいいのかと思う。

それから、何より鬼太郎の造形がひたすらいい人に終始していて魅力が少しもない。基本的に正義の味方だからいいのかもしれないが、少なくとも大人の観客には訴えるものがないのではないかと思う。まあ、ちびっ子相手だからあれでいいのだろうなぁ。

しかしもったいない。これだけの役者を揃えているのに。ウェンツの鬼太郎は間違いなく美しかった。実写であれだけ美しい鬼太郎が見られるとは思っていなかったから感動した。もう一度見たいと思わせる鬼太郎なのだ。

続編できないかぁ~。

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2007/05/06

華麗なる恋の舞台で

なかなかしゃれた映画である。もっとも女って恐ろしいなと感じてしまう映画ではあるのだが。

やはりラストは圧巻でしょう。新人女優に対する華麗な復讐劇は面白く華々しく。しかし男の視点からするとこんな女にそばによっていて欲しくはないと思ってしまう。だからこそ主人公の旦那役のジェレミー・アイアンズが不可解で理解できなかったのだ。

この映画は男性と女性ではそうとう感想が違うはずだぞ。女性の意見を聴いてみたいと思う。

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2007/05/04

神童

成海璃子主演作である。成海璃子・・・・。美しすぎる。これで14歳とかなんだからいやんなっちゃう。何か画面を見てるとこっちの気持ちがザワザワするような変な気分なのだ。ある意味日本映画界の至宝ですな。なにせストーリーに集中できないほど見とれてしまうのだから・・・・。こんな女優さんいないよ!

で、なにが書きたかったかというと神童の感想なのだが、はぁさっぱり思いつかない。

ストーリーも良かった。音楽はもちろん良かった。松山ケンイチも良かった。

何もかも良かったけど、今日の僕は何を見に行ってきたんだろうか?

美しいとは罪ですなぁ。

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12人の優しい日本人

DVDで見た。古い映画ではあり、また三谷脚本ということで散々いろんな人が言及しているであろう。あらすじは特に述べても意味がない。同じ理由でアメリカで作られた12人の怒れる男との比較はここではすまい。

この映画のもっとも秀逸なところは客観とは難しいということに気付かされることだろう。

もっとも理論的で最後まで被告の有罪を主張してやまなかった陪審員2号が実はもっとも情緒的で自らの感情におぼれやすいというオチのもっていき方は凄いの一言だろう。それは同時に主観と客観の境目を見分けることが我々観客だけでなく、有罪を主張する登場人物自身にも曖昧でわかりづらいということをあらわす。それはまた人を人が裁くという現実の難しさをも表す。いくら自分が客観的に事実を積み上げ物事の姿を捉えようとしても、主観がどこに入り込むのか自分でもわからないという危うさを孕んでいるだ。それが裁きの場面において無自覚なまま発揮されたとしたならば、我々は重大な過誤を犯さざるを得ないのだ。人間は本質的に過誤を犯さざるを得ない存在なのだと気付かされる。

傑作映画だ。人間の本質をコメディの中に見事に入れ込んだ凄い作品だと思う。一見の価値ありですぞ!

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2007/05/03

バベル

話題作といっていいんだろう。だが、僕としては菊池凛子がアカデミー賞にノミネートされなかったならば、おそらくここまでの公開規模にならなかったのではないかと思う。どちらかといえば単館系の方がお似合いの作品ではないかと思う。

基本的に四つの話からなっている。それぞれの話は繋がりはあるもののそれほど緊密に繋がっているわけではない。平たく言えば一つのエピソードが他の話に深く影響するというわけではなく、ほのかなつながりがあるという感じだ。特に日本における話は他の3つよりはるかに緊密性が薄くほとんど独立した別個の話と思って差し支えないのではなかろうか?

この手の構成をとった場合、エピソードが散漫になっていくきらいがある。僕はあまりうまいやり方だとは思っていないのだがどうだろう?

この映画のテーマは孤独とその和解ではないかと思う。特に日本における菊池凛子のエピソードはそのことをもっともよくあらわしているといえるだろう。ラストシーン彼女は裸でベランダに立っているが、父親に縋りつき泣くというのはその孤独な魂の寄る辺とはすべての虚飾を脱ぎ捨て相手の胸の中に飛び込まなくてはならないという原則的なメッセージを感じる。逆に言えば我々の相互理解を妨げているのは、我々自身の鎧のように重い、常識や面子、世間体といったものなのだろう。

ただ、取り立ててそういうことを述べてもという感じがしないでもない。きっとそんなことはこれまでの世界中にある映画や小説で描かれてきたことなのだろうから。

すごいとはあまり思えない作品だったなぁ。僕がおかしいのだろうか?

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弱法師

タイトルに惹かれて買った本だが、何と言うか・・・・すごい。

三島由紀夫の近代能楽集のように能に題材をとっている、小説だ。

3つの短編からなっている。表題の弱法師、卒塔婆小町、浮舟。僕が個人的に好きなのは卒塔婆小町だろうか。

能の卒塔婆小町のあらすじを押さえつつ小説としてきちんと完成されていて、素晴らしいと思った。特に編集者の愛を与えてやれない苦しさには涙してしまう。

はあ、なんだか凡庸な文章だ。本当に感動した時はなかなかうまくかけないものだ。

とにかく面白く、また切ない物語ばかりが収められた本だ。是非にも勧めたい。

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