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2007年2月

2007/02/18

どろろ

今一番の話題作だろう。妻夫木聡と柴咲コウというビッグスターを揃えて当たらないはずがないという感じだ。

事実日曜日の1回目という時間にもかかわらずお客さんがかなり入っていた。しかも各年代満遍なく入っていたからすごいというしかない。大抵の映画は客層が偏るものだが、この作品にはそうしたことがないように思う。考えてみれば時代劇のテイストを軸に据え、しかも時代劇の枠からはみ出そうとしているのは、苦みばしった老人も能天気な若者も虜にするかもしれない。このあたりは作り手の慧眼といったところか。

日本の作品にしては珍しい感じがしたのは主人公と「父親」との関係が描かれていたからだろうか。小説にせよ映画にせよ日本の物はなぜか父より母が注目されるものが多いと思う。昨今話題の東京タワーを見ればわかるだろう。基本的に日本の物は母の穏やかさや母の包容力を求めるものが多く、父の持つ厳しさや強さがあまり前面に出てこないように思う。父を乗り越えていく物語が本当に少ないように感じるのだ。だがこういった傾向は一時的なものなのかもしれない。これまでの日本は長すぎる不況と激変する社会環境に揉まれて不安が先行する社会であったから、母が求められたのだろう。だがこれからは一応は不況から抜け出し、変革の時期もひと段落して恐らくは海外との戦いに移っていくのだろうと思う。それは日本自身が超えなければならない壁であろう。強く気を抜けない相手。物語の世界においても、そのような偶像が生み出されていくと僕は思っている。そのような偶像の一つの典型が父親であると思うのだがどうだろうか。きっとこれからの映画は強い男を倒す男の物語がたくさん作られると思うのだが。

もっとも母に関する物語の多さは、日本が母系社会から始まったと言われることがあるから、今日においてもその影響があるのかもしれないが。

変革期の映画かもしれないと思う。

さて最後にどうでもいいが、最後の魔物を倒した数が表示されたのはこすいやり方だ。続編を作るつもりなのだろう。TBSさんだしねぇ、NANAのようにならなければいいが。

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2007/02/12

バブルへGO タイムマシンはドラム式

なんとも楽しい映画だ。能天気で明るくて軽くて。ノリがいい。肩の凝らない映画だ。

ストーリー自体は何てことのないものだ。タイムスリップものにありがちな話で、先にタイムスリップした者がタイムスリップした先で行方がわからなくなり、その者を追って後から主人公がタイムスリップしていく。でこの主人公は行方不明者を探すだけでなく、もう一つ重大な使命を持っている。

ま、だいたいこんな具合に話が進んでいく。しかもハッピーエンドになるというのも定番か。だが愉快なのはこの映画に出てくる小道具たちであろう。洗濯機にしか見えないタイムマシンやバブル期のファッション、音楽。タイムスリップ物につきものの現代とのギャップに驚くというお決まりのパターンも踏襲されている。

この映画で一つ特徴をあげるとすれば現在では否定されること多いバブルを結構肯定的に捉えているということではないかと思う。主人公はクルージングの船の上で、お酒を飲みながら「バブルって最高ー!」と叫ぶシーンがあるが、あれはまさにあの時代を謳歌した者の偽らざる本音の部分ではあるまいか?私はあの時代を中学生として過ごしていたからバブルの恩恵にはあずかれなかったが、その私の目から見てもあの時代は明るくキラキラ輝いていた。経験してみたかったと憧れる気持ちがすごくある。

だが一方で主人公が下辞川に「不安じゃないの?」と訊ね下辞川が「全然」と答えるシーンはある種の後悔が混じっているように思われる。危機感もなく「ジャパン アズ ナンバー1」を無邪気に信じていた自分を振り返ってしまうのだろう。あまりに無邪気すぎ愚かでありすぎたという苦い後悔の味が入り混じったやりとりであったに違いない。

とはいえ明るく能天気なトーンは変わらないのだが。

最後に主人公を演じた広末涼子について。結婚してママになったとは思えないほどのはつらつとした若々しさを保っていた。今でも彼女はスーパーアイドルなんだなと思う。日曜日の1回目に見たのだが恐らくは広末ファンと思われる男性客がけっこういた。マスコミに散々色んなことを書かれたが、今でも根強いファンがいるのだ。彼女はまだまだこれからも活躍するのだと思った次第だ。

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2007/02/04

それでもボクはやってない

周防監督の11年ぶりの作品である。前作から11年も経ってるんだね。驚きだ。

さて僕はこの作品を土曜の1回目に見に行った。混雑するのが嫌だったからというのがその理由だが、それでも客席は4割程度は埋まっていた。力のある映画と言うことなのだろうか?

映画を見終わった後、劇場のエレベーターで一緒になった4人の若い女の子たぶん中学生くらいだと思うが、彼女達が話しているのを聞いていたが主役の加瀬亮がかっこいいしかわいそうと話していた。そして裁判官役をやっていた小日向文世がムカつくなんて話していた。小日向文世は顔が柔和な感じの中年男性だから余計にそう思ったのだろう。お客にそう思わせるのだからなかなかよく作られている映画なのだろう。

この映画からは何だか監督の怒りみたいなものを感じる。法曹関係者の誰もが現在の裁判制度がまずいとわかっているのに、なかなか改められない怒りなのだろうか。それとも裁判制度の問題点を知ろうともしない僕ら一般国民への怒りなのだろうか。或いは裁判制度そのものに対する怒りなのだろうか。

パンフレットを見ると監督は脚本を11回も書き直したらしい。それは裁判制度や法律用語をわかりやすく無理なく映画の中に入れるという点で苦労したのだろうが、それとは別に監督は怒りという暴れる感情を冷静に制御する必要があったのではないかと僕は想像する。と言うのはこの作品はただ怒りが描かれているだけでなくてそれを冷静に制御しているように思えるのだ。

何といってもこの映画のラストの独白が考えさせられる。最高裁の建物をバックに「どうか私をあなた達が裁いて欲しいと思うやり方で裁いてください」という視点はこれまでの裁判に関する考え方に新しい示唆を与えるものではないだろうか?恐らく今までこういう考え方をする人はいなかったと思う。名セリフではなかろうか。このセリフを聞きにいくだけで十分時間と金をつぎ込むに値するだろう。

なかなか興味深い作品だ。地味ではあるけれども。

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