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2006/11/14

陽だまりのブラジリアン

第16回の朝日新人文学賞の受賞作品。

なかなか軽妙な文章を書く人ですな。この本の帯に小川洋子が書いているように細部の描写を積み重ねている、その描写力はまっとうに評価していいと思う。

そうではあるけれども、しかしと続けてしまいたくもなる。

というのも、物語の後半からやけに語り口が早いのである。ちょうどジョセリンのお兄さんが何故か警察に捕まるところぐらいから。このお兄さんは何のために出てきたんだろうと思う。どういうわけか出てきて何にもせず、いきなり警察に捕まってしまうのだ。よく考えたらなんのこっちゃわからない。この小説の決定的な欠陥はまさに後半部分、前半で蒔いた種を後半でろくに刈っていないところにあると思う。せっかく前半で丁寧な描写を重ねていたのに、後半でそれらを生かすことができず、急に色々なことが解決してしまう点にあると思う。要するに後半に向って、物語が深まっていないのだ。

まあ、そうは言いつつもそのような欠陥を補って余りあるほどの勢いというものがこの小説にはある。だから欠陥がそれ程気にならないし、なにより読んでいて楽しい娯楽作だ。

肩の凝らない、楽しい小説だ。生活に笑いが欲しいなという人にはお奨めの小説かもしれない。

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