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2006/10/09

涙そうそう

なかなかの佳作ではないかと思った。客の入りも上々で日曜日であることを考えてもこの作品に人が集まることに僕は瞠目した。やはり日本映画の調子が上向いているということなのだろう。それとともに妻夫木、長澤という旬なスターを起用しているということが功を奏しているのだと思う。非常に喜ばしいことだといわざるを得ない。

これは兄と妹の物語である。血の繋がらない兄と妹は幼い頃に父が蒸発、母を病気で失うという不幸に見舞われ、離島で暮らしていた。一足先に兄は沖縄本島でひとり立ちし妹が本島の高校に進学するため兄を頼ってくるというところから物語はスタートする。

最初はおままごとのような生活を楽しんでいたが、兄はいつか自分の店を持ちたいという夢を持っていて、一生懸命バイトに明け暮れているが人に騙され借金を背負ってしまう。付き合っていた恋人とも別れてしまう。兄を助けようと妹は兄に内緒でバイトをするが、大学にいって欲しいと願う兄は妹を怒ってしまう。そんな折蒸発していた父親がひょっこり現れる。「今までありがとうな」という無責任な父親の言葉に怒る兄。

やがて二人に別れの時が訪れる。妹が大学進学し、独立したのだ。初めは妹の独立を許さなかったがやがては認める兄。

妹が独立して一人暮らしをはじめてしばらくたち台風がやってくる。妹のアパートが滅茶苦茶になり足がすくんでいるところに兄がやってきて助ける。兄との絆の太さを再確認する妹だったが、雨でびしょ濡れになり病に係りそのまま死んでしまう。

島に戻り兄の葬儀の日、死んだ兄から送られてきたのは成人式の晴れ着だった。

とまあこんな感じの物語ではあります。

まずなんといっても兄がよい。おとぎばなしに出てくるような感じの丸い人柄で、妹を思う掛け値なしの愛情には涙が出てくる。おそらく世のお父さん達はこの兄に自分の姿を重ね合わせるのではないかと思う。

そんな兄を慕う妹もまたいい。兄に甘えてばかりではいけないという一心で一人暮らしをはじめるが、やっぱり兄がいないとだめっていう感じがよい。

僕はこの作品は極めて日本人的な映画だと思う。外国人にはこういうのは良くわかんないのではないかと思うのだ。日本人が理想とする家族の風景画ここには描かれていると思う。人によっては善人ばかりでつまんないという人もいるかもしれない。だが多くの人にとっては人を思いやり、いたわりして生きていく姿に素直に感動するのではないかと思う。僕も感動した一人ではある。なかなかの佳作だ。見に行くことをお奨めする映画だ。

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