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2006年8月

2006/08/21

日本沈没 原作本

映画を見た後勢いで買ってしまった本だ。当然のことながら映画と小説は違う。

まずなんといっても原作本には映画にあったような名シーンがない。例えば映画の中では田所博士が新聞紙をペンでブスブス刺して沈没を食い止める方法を説明するところや、主人公小野田が爆弾を海底に設置するクライマックスのシーンなどがない。そもそも小説には沈没を食い止めようという発想がない。

この小説は日本沈没という未曾有の国難に際して、人々の身の処し方といったことを描くことに尽きると思う。

小説は様々なことを描いている。沈没のメカニズムや地震が起きた時の情景、度々現れる日本人論、宰相の資質、国際政治の舞台裏、軍事経済のバランス、非常に多岐にわたることを描いている。それは国家が喪失するということはただ領有する国土を失うのではないということを示唆するものなのだろう。

僕の率直な個人的な感想としては何度も読み返したいタイプの作品ではないなということだ。まずもって沈没のメカニズムが非常に丹念に書かれていたが、チンプンカンプンだった。はっきりいって途中で読むのをやめようかと思ったくらいだ。それから地震のシーンの凄惨さにはげんなりしてしまう。

おかげで日本人論などは秀逸だったとは思うのだが、その頃にはくたびれてしまう。しかも沈没までに時間がかかり、飽きてしまうのだ。はやく沈没すりゃあいいのにと不謹慎にも思ってしまった。

まあ、映画のほうが楽しいかったなと思うのだった。

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スーパーマン リターンズ

アメリカでの人気はどうだか知らないが、ことこの作品に関しては日本ではあまり大きな成功を掴むことができないのではないか?それがこの作品を見た僕の率直な感想である。

日曜の昼からの時間に見たが、はっきりいってお客は大して入っていないように感じた。また、静岡市内では大きな劇場2館を占領しての上映だったが、これは劇場側の期待がだいぶ高いことを見越しての措置なのだろうが、うまくいかないのではないか、そんな気がした。

というのもスーパーマンが公開されると聞いて僕が最初に思ったことは「今さらスーパーマン?」である。かつてはヒットしたかもしれないが、現在では難しいだろう。特に若い世代には訴求力がないように思われる。なんとなれば日本の若い世代は日本のアニメを見て育っているためアメコミの中にヒーローを見つけなくても身の回りにヒーローはいくらでも見つけることができるのだ。オールドファンには申し訳ないがはっきりいって期待値は低かった。記念碑的作品だから見に行ってみるかというのが主たる動機ではないかと思う。

さて内容なのだが、率直にいって最悪だった。何といってもバランスが悪い。この作品の主たるテーマは二つに集約されるだろう。一つは悪党レックスとの戦い、もう一つはヒロイン、ロイスとのロマンスであろう。一応ヒーロー物だから、レックスとの戦いに重点が置かれていそうな感じがするが、決してそうではなくどちらかといえばロイスとの関係に重点が置かれている。おかげでせっかくケビン・スペイシーという名優を迎えての悪役との戦いが非常に希薄になり、つまらない仕上がりになってしまった。こんなことならラブロマンスでも作ればいいのにと思ってしまった。ロイスとの関係もデリケートに過ぎた。スーパーマンとの離れている期間に彼女に婚約者ができていて微妙な関係におかれてしまったという設定はわからなくもないが、実際問題としてその心情の描写が丁寧になされているかと言えばそんなことはなく、わかりにくい上に大雑把だった。こういう微妙な関係は大作りな大作映画には向かないのかもしれない。

この作品の一番のネックは悪党レックスがやろうとしていることがいまいちよくわからないということではなかろうか?新しい大陸を作りアメリカ大陸を沈め、何十万という人が死ぬという設定は確かにすごそうだが、映画を見ているとちっともすごい悪事を働いているように見えない。おかげでものすごい危機が迫っているという切迫感がなく、どこか滑稽ですらある。ケビン・スペイシーの芝居に迫力があるからこそ画面が持っているようなもので、あれが並みの俳優ならどうしようもなかったろう。

さらに最悪なのは新聞記者としてのロイスの描き方だ。ロイスとクラークは新聞社に勤めているのだが、スーパーマンが帰ってきたという事実に騒いだり、悩んだりしているだけでその裏でうごめくレックスの悪意と関連していない。そのためレックスの話とロイスの話がほとんど交差せず、物語が分断された状態となっている。クライマックスに入る重要な場面でロイスはレックスのアジトをそれと知らずに足を踏み入れるのだが、この場面こそ醜悪だった。そんなやばそうな場所にホイホイ入る奴がいるか?しかも息子を連れて。あざとい上に愚かな行動をキャラクターにさせている。それもこれも二つのテーマをもっと早い段階で交差させていないから、キャラクターにこんな無茶な行動をとらせてしまうのだ。こんな脚本誰が書いたんだ?これで日本の観客をひきつけられると思っているのだとしたならば、日本の観客は随分舐められたものである。

はっきりいって駄作だった。映画開始から一時間で早く終わんないかなと思ってしまうほどに・・・・。今年の夏は見たいと思う映画が少ない。どうにかならんものか?

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2006/08/14

日本沈没

最近人気の日本映画。この夏の日本映画の中ではゲド戦記と双璧をなす人気作であろう。

33年前のベストセラー小説で当時公開された映画も好評だったようだ。33年前というと僕が生まれる前の話なのでもちろん記憶にはないが、日本沈没というタイトルだけはちゃんと知っている。内容はわからないが雷名轟く作品と言えるのだろう。

率直に感想を述べるとするならば、おもしろかった。パニック映画にありがちな「こんなすごい映像撮っちゃいました、さあご覧下さい」的な映像に全面的に依拠した作品でなく、また長大な原作の「映像による総集編」的な原作の消化不良もなく、きちんと人物が描かれた良き作品であった。

またもや僕は原作を読む前に映画を見てしまったのだが、恐らくは相当な部分原作の改作が行われていたのだろうと思う。具体的にどことは原作を読んでいないので指摘はできないが、そう思う。特に映画の開口部分、いきなり沼津の地震からスタートするが恐らく原作はこんなんじゃないだろうと思った。パニック映画の定石とはありふれた日常を見せてその日常が破壊されていく過程を見せていくものだが、この映画はそうはなっていない。いきなりパニックから始まるのだ。この部分を見ても、映画の製作者達がよほど原作を読み込んで、この原作を改作していったということが想像される。

さて、この映画の主要人物の二人だが、実にいい。柴咲コウが演じたハイパーレスキュー隊員はなかなかの造形の仕方だと思う。普通はこういう役は男が演じるのだろうと思うのだが、観客にとっての一般常識をあべこべにしてみせたのはお見事というしかない。だいたい登場シーンがかっこいい。仕事を持つ女性というのは現代のTVドラマや映画にごく普通に出てくるが、たいていの場合スーパーウーマンになってしまう。仕事もバリバリできて恋愛もして、ひょっとしたら部下の面倒見もよくてって感じですごいとは思うけど、こんなのはいねえよなとうそ臭さを感じてしまうのだが、この作品ではそんな感じはなく、素直に感情移入ができた。男っぽさと女らしさが絶妙にバランスを保っているのだろう。技ありの人物の描き方だと思う。

一方くさなぎが演じた潜水艇のパイロットは煮え切らない態度と逡巡し苦悩する姿が良かった。オレ、行くぜ、助けちゃうぜといったイケイケの男だったらこうはうまくいかなかっただろう。柴咲コウが演じるハイパーレスキュー隊員との対照的な性格が印象的で、良かったと思う。特に潜水艇に乗り込むまでの苦悩はそれが命を賭さねばならない過酷な選択であることを強く観客に訴えかけるもので、その姿に涙するものも多いのではないかとおもう。実にいい人物だと思う。

客の入りは上場であった。やはりたくさんの観客と一緒になって一つの映画を見るという行為は家でDVDを見るのとはやっぱり違う。たくさんのお客さんと感動を共有できるという体験はぜひともお金を出してでもすべきことなんだろうと思う。見て損はない映画だ。ぜひ一見することをお奨めする。

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