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2005/12/31

男たちの大和

日本人なら誰もが知っている戦艦の名前。アニメになって宇宙にも行ったっけ。当然ストーリーもよく知られており、今さらどうこう言うことない作品だ。言ってみれば定番の作品だと言える。

のっけから涙腺が止まらなかった。仲代達也が鈴木京香の訴えを聞いて船を出すべきか逡巡するところからもうダメだった。やはり僕は日本人なのだと痛感した次第。戦闘シーンなど見ていられない。悲しくて切なくて、日本人がこの戦艦の物語を得たことはその倫理観、道徳観、思想の形成に大きな意味があるのではないかと思う。

あの悲惨な戦闘シーンに一種の神々しさを見つけてしまうのいけないことだろうか?必死になって戦い、次々に戦死者を出してもその屍を踏み越えて機銃にすがりつく戦闘員の姿を愚か者と断ずることのできるものがいるだろうか?極限の、絶望的な状況の中で国を思い、故郷を思い、家族を思い、恋人を思い一機でも敵戦闘機を打ち落とそうとするその志をバカな戦争をしたと言って断罪することができようか?

物語のラストは日教組が喜びそうな結論で締めくくられていた。「とにもかくにも戦争は良くない。」だが、その結論は大和の物語とは相容れないものではなかろうか?かつてほどではないが、この国は自己否定の重い病にかかっている。日本人であることを否定するような奇怪な病が流行し、定着し、しかも正しい信仰であるかのように受け継がれようとしている。だが、大和の特攻は僕たち子孫に自己否定をするための材料を与えるために行われたのだろうか?

大和を含めた先の大戦の日本人の必死の抵抗は、自立して生きていくというテーマに集約されるように思う。自立を脅かされるということはそれまで日本人がつむいできた歴史、伝統、文化、習慣を脅かされるということにほかならない。そしてそれらは日本人が日本人らしく生きていく上で必要な要素であり、その要素を破壊されてはもはやそれは日本人とは呼べないのだ。そしてその必要な要素が国家というシステムによって守られている以上、国家の独立が脅かされている時は、日本人が日本人であるために日本人は戦うのだ。

戦後の自己否定の風潮は日本人を解体する作用しかなかった。そしてその風潮はある程度まで成功したが、しかし完了はしなかった。

戦後の自己否定の風潮は極めて単純な問いから導かれた解ではなかったかと僕は思っている。それは「どうして我々は負けたのか」という問いであったと思う。そして極めて単純な問いは極めて単純な解を導き出したのだと思う。「日本人だから負けたのだ」と。いわゆる進歩的知識人たちはその解を左巻きの思想によって脚色していった。それは複雑で玄妙で、魅惑的でさえあったのだろう。だが進歩的知識人たちは間違っている。進歩的知識人たちも日本人である以上、日本人が日本人らしくあるための要素から逃れることはできない。したがってその解はその問いに負けている。なぜならばその解は日本人的要素を多分に含み逃れることができないからだ。完全に日本人を解体された進歩的知識人ならばその解に説得力ある脚色をつけることができるのだろうが、そんなことができる者は日本にいるわけもない。

最近になって朝日新聞や日教組に代表される左巻きの思想は急速に衰えている。それは昨今の極東アジア情勢に刺激を受けたものであるといえるだろうが、同時に日本人の解体に成功しなかったという事情も加味されるのではないかと思う。我々はようやく左巻きの時代から脱却し、「どうして我々は負けたのか」という問いの真実の解を求めることができる時代が来たのではないかと思う。よく日本はあの戦争に向き合っていないというふうに言われるが、ようやく我々は我々自身の手であの戦争に向き合わねばならない時代になったということだ。恐らくその解は厳しい現実を突きつけることになるのだろうが、その現実から目をそむけてはいけないのだと思う。それが雄雄しく散った英霊たちの子孫の責任だと思うのだ。

ところで、今回の主人公中村獅童は怪物的な演技であった。歴史に残る名演技であったと思う。素晴らしかった。また反町隆史は僕は今まで全く評価していなかった。GTOの時代からこいつは大根だと思っていたが久しぶりに見て、認識を新たにした。彼もまた新兵の兄貴的存在として確かな演技を披露していた。素晴らしかった。

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