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2005/07/11

バッテリー

シリーズ物の第1巻。

ここで言うバッテリーとは野球のバッテリーのこと。車じゃありませんな。

天才にしてとんでもなく高いプライドを持ったピッチャー巧をめぐる話なのだが面白い。

彼の一家はお父さんの転勤で春休みに岡山の新田という町に引っ越してくるのだが、この1巻で描かれる話はその引越し当日から、数日間、まだ学校にも野球部にも参加していないところまでの非常に短い期間の物語でしかないのに、非常に濃密な物語になっている。なんかワクワクしちゃう小説だ。

巧という主人公は天才で、天才であるがゆえに傲慢で人の気持ちを解さないかわりに、人にも自分を解さなくてよいというようなところがあると描かれている。とくに象徴的なのは体を人に触られるのを極端に嫌うことだろう。ピッチャーだから利き手を大事に守りたいというのはあるにせよ、体を触られるのがいやだと思うのは他人との距離の遠さを感じさせる。

そんな巧が新田に引っ越してきたのだ。この町で一人で暮らすおじいちゃんはかつて甲子園に何度もいったことがある、名監督という設定だ。なにかことがあるにつけじいちゃんが巧の羅針盤となっている印象を受ける。もっとも、彼が活躍するのはもっと後のことだろう。

さらに巧の弟青波も印象深い。巧より2歳年下の小学生だが、体が弱くいつも熱ばかり出している。その青波が1巻の終わりに野球をやりたいと言い出す。巧はお前じゃ無理だ、俺のようにはなれないと突き放すのだが、今まで見た事もない青波の自我に直面し巧派面食らう。

巧は母との関係も微妙だ。母は野球が嫌いであり、いつも青波の面倒ばかりを見ていて巧とは一線を置いている。かわいくないわけじゃないのだろうが、どう扱っていいのかわからないという感じだ。

だが、一番目立つのはキャッチャー豪だろう。彼は巧とは正反対の人物として描かれている。周りの人間に気を配り、コチコチに凝り固まった巧の自我を全力で受け止める存在だ。

第1巻はこの巧の自我が青波と豪によって揺さぶられ始める物語である。高すぎるプライドと有り余る才能で傲慢な言動を取りがちな巧は当然周囲と摩擦を起こすのだが、それまでその摩擦の原因を外に求めていたのに対し、これを内に求め始める物語である。自分に対する懐疑とでも言おうか?

1巻に描かれているのはそこまでである。2巻以降はどうなるのであろうか?まだ読んでないから当然わからないけれども・・・・・。早く続きを読みたいと思わせる小説だ。久々に心が熱くなったぞ。

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