« 亡国のイージス | トップページ | 武士道 »

2005/04/28

博士の愛した数式の感想文

本屋大賞受賞作品である。
タイトルがよい。昨年この本を本屋で見かけたが
読む時間が全くないのでスルーしていたのだが
今年になってようやく読むことができた。

内容は
交通事故で記憶が80分しかもたない老数学者のもとに
家政婦である私が派遣されてきた。
博士の記憶はちょうど80分しか持たない一本のビデオテープみたいな
もので、私は博士の家に出勤するたびに
靴のサイズと電話番号を聞かれる。
ある日博士は私に息子がいることを知ると
子供を一人にしてはいけないと、ものすごい剣幕で
怒り出す。私は博士にいわれたとおり、息子を博士の家に連れてくる
博士は息子の頭のてっぺんが平らなのを知ると
彼にルートとあだ名をつける。

こんな感じで始まる物語だ。
博士は数学に限りない愛情を注いでいて
読んでいる自分には、滑稽に映りつつもその純粋さに心打たれる。
また、博士の子供に対する愛情の注ぎ方は
小さきもの、か弱き者に対する絶対の保護者ともいうべきで
はっとさせられる。本屋大賞に選んだ書店員の人々はこの辺りに
参ってしまったのではなかろうか?子供に対する大人の態度は
かくあるべしと考えさせられるのだ。
僕はルートが怪我をして病院での場面
三角数の説明をしながら、博士が泣き出してしまう場面が
切なかった。博士が子供を守ってやれなかったという自責の念を
必死で数学の説明で心のバランスをとろうとし、そのバランスが
とれず、泣き崩れてしまうあのシーンは美しく、せつない。

博士が高熱を出した翌朝、背広に付けられたメモを見ながら
すすり泣くシーンも切ない。80分しか持たない記憶という現実に
孤独に対峙するその姿が悲しい。どうすることもできない現実に
たった一人で向かい合わなければならないこの孤独。
これを孤独と言わずして何を孤独といおうか?
このシーンほど胸を打たれるシーンはない。

極めて個性的な博士と平凡な親子の
日常が淡々と描かれている。
一気に読んでしまった本だし、
またそうさせるだけの力のある本だと思う。
お奨め傑作の本です。

|

« 亡国のイージス | トップページ | 武士道 »

「書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/95537/3888403

この記事へのトラックバック一覧です: 博士の愛した数式の感想文:

» 博士の愛した数式 [兼業サラリーマンの株で目指せ3億円]
GWのGは「ごろ寝のG」と子供に言われてもおかしくないくらい、午前中はごろごろし [続きを読む]

受信: 2005/05/01 22:37

» 博士の愛した数式 [☆Happy diary☆]
昨年の本屋大賞受賞作。 私は母に薦められて読みました。 しみじみと心に残る素敵な作品でした。 私の母は数学関係の仕事をしているので、 普通の家よりももともと数学(数字)関係の本が多いのです。 マンガや絵本などもあるので、結構身近にその関係の本を読んでいました。 そのためか分かりませんが、 私は目に入った数字が綺麗かどうか考えるクセがあるようです。 例;車のナンバー、電話番号、誕生日、カタログの商品ナンバー、…… 主人公と近... [続きを読む]

受信: 2005/05/08 14:04

» 博士の愛した数式 [peek a boo]
博士の愛した数式  著・小川洋子 2003年 新潮社 ★★★★★ >>Amazon.co.jp 記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。単調な文..... [続きを読む]

受信: 2005/05/09 14:12

« 亡国のイージス | トップページ | 武士道 »